介護

老後にも、人間関係はある【前編】

mariri

いつか老後がくる

老後のこと、考え始めるのは40代くらい。

40代なら『親の介護』が浮上する。施設入居をする主な年齢層は80代や90代と、100歳越えた方もいる。高齢者向けの施設、イコール認知症専門ではない。

認知症はなく、身体機能など他の理由で入所される人も多い。

施設へ入居する年齢層は、施設の特性によって微妙に異なる。私が勤める施設は『認知症専門』で、入居の利用者さん全員が(軽い重いも含め)認知症になった人達。やはり80代半ば~90歳前後が最も多い。

70代で入居だと「若いなぁ」「ここ来るのは早すぎちゃうかな」と、施設職員としては感じる。圧倒的に少ないが、60代や70代で認知症ゆえ入居もある。施設への入居に年齢制限はない「80歳以下お断り』なんて言わない。

60代や70代で7入居になる人には、入居するだけの事情がある。

症状が知らない間にでる

ジワジワと進行する様子も(速度も)かなり個人差がある

実は、70代前半で入所は稀だけど、言動をみて「この方、発症は60代からでは?」と思える方いる。もし、自分の親/身内が、60代で認知症の症状を見せたら、40代の子供世代としては、かなりショックだろう。

15年以上も昔、まだ私が介護士してない頃。45歳(当時)の知人が、親の奇行に悩んで、認知症と診断され「あれ、年寄りの病気ちゃうの?」「なんでなん?ウチの親って67歳やで?」と、パニックになっていた。

年寄りの病気。えらい言い様だが、当時、そんな風に思われていた。

心の準備、身辺整理など。老後の準備をしていても、認知症になるのは別の話。

まったくの不意打ち。

10年20年も昔、今より情報も乏しかった。

2024年の今でも、親が60代で認知症になれば、困惑する人は多いと思う。

親世代が心身共に元気で過ごし、自身が60代になった頃、いよいよ『自分の老後』が身に迫る。それでも、現代の60代は心身ともに若々しい。病気や、怪我の後遺症など不調がなければ、充実した時間を過ごせる体力も残っている。

早い遅いに個人差はある、けど、老後は誰にとっとも避けられない。

認知症の始まりは、密やかに

現代の60代は、働いたり新たな趣味にチャレンジしたり、好きな事が出来る。

良い時代になった、と思う。

定年退職した年齢なら、もう子育てに手をとられず、たっぷり時間はある。

現代って『老後は何歳から始まるのか」が、実は、とても曖昧。

70代でフルタイム勤務する人、孫の世話をする人、山登りや旅に出る人もいる。足腰が痛くて動けない、気力が湧かず何もしたくない、持病が悪化して辛い等で「もう歳やわ、あかん」「家で大人しく暮らす」と言う人もいる。

年齢など「記号」になるのが60代以降、70代や80代など

健康年齢と、寿命には、年単位の「差」がある。

この差を小さくする為に、皆さん、食事を整えたり散歩をしたり、筋トレしたりお酢を飲んでみたり、食事を腹八分にしたりと、様々に、自分の健康を守る工夫をしている。

上手くいけば、健康でいられる時間は伸び、『差』は縮まる。

じかし、認知症になるって事は、そんな努力とは別の、コツコツと築き上げた大切な財産(健康、交友関係、趣味など)を、ドカン!と崩されること。

認知症という病は、始まりも進行も分りづらい。

自分の身を守れなくなる

発症してから、認知症のもつ症状が表にでるまで時間差がある。

専門の医師でも「アナタ、68歳の11月頃に発症したね」とか、そこまで詳細な診断しない。ある時期、症状が表れ「あれ?」と思い、だいたい周囲が先に気付き、本人はピン!とこず説得され、渋々、受診したら発見される。

腹痛や頭痛とちがい、ほぼ痛みなく変化なく、最初が見えない。同居する人がいても「あれ?妙なこと言う(して)るな」「最近、疲れてる?」と感じる程度で、初期の認知症では、違和感をスルーし易い傾向がある。

よほどの奇行(人前で裸になる、リビングで放尿、散歩から帰宅できない、等々)が続けば、誰でも「認知症か??」と思うが、そんな症状ばかりじゃない。

高齢になると判断力が鈍くなる、これもめちゃ個人差あるので、判断基準にならない。

元々、忘れ物が多い「うっかり」「やっちまった」が多い人。こんな人が少々、認知症の症状をだしても、身内は「またやってる」。しっかり者の失敗なら「歳のせい?」

小さな事で『これは認知症かも?』と判断し、受診を勧めるのは難しい。

一人暮らしなら、もっと気付けない。

長く独りが続くと、生活に対して用意周到になるし、用心深さもある。それでも、認知症になったと、自覚するのは簡単じゃない。神経質なほど警戒する人は、定期的に検査へ行って対策するが、それもでも病じたい防げない。

同居でも、独居でも、認知症になったら、生活設計は変更せざるを得ない。

そして、認知症になりました、即!施設へ入居とはならない。

不便なこと、できない事が増えていく。築いてきた自分の暮らしが壊れていく。

不本意なこと、不愉快なことも増える。認知症になると、色々な面で悲しい。

何より悲しいのは、自分が築いた人間関係も変わっていくこと。

ABOUT ME
しげり
しげり
介護士/西洋占星術占い師
関西で生まれ育つ。幾つかの職を経て介護士になる。主に認知症の方々のお世話して10年以上になる。2019年秋、ある日、なぜか西洋占星術(ホロスコープ)へ興味をもち、学び始める。知れば知るほど興味が尽きず、介護の仕事;コミュニケーションにも活用できると感じる。学んだら活かす、お互いに笑顔が浮かぶように。太陽は魚座/月は牡羊座
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