人手不足、沈みゆく舟みたいな【場】
今回は西洋占星術の話ではない、100%介護関係のお話です。
しかも、オチはないし解決方法もないしな話になります。
最低限の職員数が確保できないと、崩壊へ向かう
夏から今に至るまで、急に職場が慌ただしくなってる、退職者が相次いだから。
で、去った人の分、採用が上手くいかないまま年末に突入しそう。
介護の仕事は〈24時間、闘えますか?〉なんて昔のCMを、そのまま体現してる。
365日24時間、お休みなし。
個々のスタッフは交代で休日をとるが、全員がシフト制で動き、割り当てられた勤務は必死に守る。シフトに穴が空くなど言語道断!!!
体調不良、忌引き、事故…など、誰かが急な休み発生時は、穴が空かないように凄まじい勢いで交代要員を募る。交代ムリ!!と判明した時〈その日の業務の編成〉指令が、飛び交う。非常事態は自分の持ち場、他ユニットや他階にまで素早く広がる。
誰かが急に欠勤したら、職場がパンク(ほぼ崩壊)になる濃厚な人手不足も
辛うじて「この1日だけ」踏ん張って、翌日は持ち越さず、それが叶う程度の人不足も
文句言いつつ欠勤の穴埋め「お互い様やし」と労れる程度の、人手不足が薄め感も
スタッフ不足感はグラデーションみたいに差がある。
介護保険法で、介護士の配置人数は決められ、どこの職場も(当然、施設規模によって異なるが)最低〇〇人は確保すべき。それだけの介護士を常に捕獲、いゃ、確保すべく努力をしている。
常に利用者さん達と接する側は「この配置人数でも少ない」と感じる場面は多い。
その時々の利用者さん達の体調や心境で、欲しい職員数は変動するが…もう、良識ある心優しいスタッフなら、何人でも居て欲しい。欲張りは言えへんけどね…。
現場で、日々、働く職員を最低限も確保できてない状況は、不安で仕方ない。
介護も Show must go on. な世界
ただし、幕は上がりっぱなしで。
入居を引き受けたからには、入居者がいる限りは職員が必要。勝手に閉店できない。
困ったことに介護士は常に不足しているのに、休館日など一切ない。
一旦閉めて体制を整えたり、スタッフの疲労回復を計りましょ、なんて到底できない。
利用者さんを受けた時点で、走りっぱなし(お休みなし)!!
これって実は大変なこと。「当然やろ?そうゆう業種やし」と、滅私奉公が当然で働いてた世代は言う。そんな干乾びた感覚、若い世代や今時の人に通じるかぃ!
同僚には「地獄のような」「まるで野戦場のような(建物だけは立派な)」介護施設を経てきた人達もいる。タイムカードをごまかし、20日連勤だ、14時間連勤してた。凄まじい経験をした挙句「体が動かんようになってん、家族には泣かれて止たん」「どっか変になってたで、あの頃は精神が病んでた」とか
体が先か?精神が先か?両方が同時期か、何にしても「病んだし退職してん」体験
皆さん、遠い目をして言葉少なに語る。
疲れ果てて通勤途中に交通事故を起こし「身の破滅を感じ決断した」人もいた。
それでも執拗な退職阻止、引き留めや妨害に遭い、振り切る形で退職した人もいる。
病んで、休んで回復した頃「転職してココに来てん」「あそこに比べたらココ、楽」
聞くだけで気が重くなる職場経験。比較対象のせいか「ココの職場って、1人が休んでも翌日には業務が戻せるやん?何とか回していけるやん?気が楽やわ」と言う。
職員の不足感うすい職場とて安泰じゃない。何かのキッカケで人手不足が加速する。
業務を回す、イコール割り当てる職員が揃ってる、それが可能な人数が在籍してる。
良い介護、ケアの質を高めるウンヌン理想を述べる以前に、土台が ↑↑ これ。
介護の世界では生身の人間の、人手がないと、お手上げ。
全国区のニュースに心が痛む
強者な同僚ら、私も含む介護士の全員が「ゾっとする」と口々に言うのが、最近(2024年9月頃から)報道されてる【見捨てられた高齢者施設】ニュース。
関東の、高齢者向けの施設で『職員が一斉に退職。入居者は多数、施設内に残され行き場もなく途方にくれる。運営する社長はトンズラして逃げた』と報じられていた。
散乱した汚物、グシャグシャのリネン類、汚れたままの洗濯物、
食事もろくに与えられず、ひもじい、凄まじい空腹、空っぽの台所、
いつもの慣れた職員さんが見当たらない不安、
2ヶ月以上も風呂に入れず皮膚炎を発症、お尻も汚れてタダレぐちゃくちゃ、、、
映像はボカシてる部分も多く、生生しく放映してないが、報道の内容は悲惨そのもの。
「多頭飼いが崩壊したブリーダーみたい」など不謹慎なコメントも目にしたが、介護士としては、イヤでも具体的に想像できてしまう状況、皮膚の無残なあり様も判る。
皮膚の清潔って重要な、当り前じゃないけど必要不可欠な事!!
数日間、何かの事情で体や髪を洗えないだけで、気色悪いし不快。一週間、体や髪が洗えない状態に陥ったら精神まで病みそうにストレス。半月、一ヶ月、まして数ヶ月間も入浴させて貰えない状態、今年の夏は猛暑の中で。
老人施設なら、おむつ使用の人も多かったはず。書いてるだけで臭ってきそう…
「ここまで悲惨で崩壊した職場は、さすがに経験ないわ」と同僚の強者達もうなる。
ずっと維持できる保証もない
一斉にスタッフ退職で施設が空など、そうそう起こる事やない(数人レベルの一斉退職なら、時にはある)。30人規模のスタッフ退職なら、元が大きな施設なのだろう。
日常、数人が同じ月に抜けると「きついわ、大変やん」と現場では文句が飛ぶ。
経営側も大慌てで次の職員を探し始めるが、それでも即採用とはいかない現実。
報道されてた施設の、総スタッフの何割が30人なのか?
詳細は不明だが、それだけの職員が同時退職など異常で。経営する側に原因があるのは明らか。現に、社長とやらは隠れてると報道されているし。
従業員数がン百人、1000人以上の規模な会社すら倒産、経営破綻がある。
一般企業の倒産も、介護施設の倒産(閉鎖)も、スタッフは明日以降の生活に困るし、先が見えない不安さや苦しみは同じ。いきなり職が失われ、お金の心配じたいが大きなストレス。でも、介護施設のほうには複雑な課題が残される。
そう、利用者さん達。
自宅では暮らせないから、決して安くない金額を毎月(入居時にも)払って、プロの手を借りる。安心して生活する為に高齢者ご本人も、その家族も、施設への入居を選ぶ。
単に『箱』お部屋の確保だけ、その権利を購入する形態もあるが、歳を重ね心身が衰えてきた時に必要なのは人の手。だから施設に住んでいる人が大半なのに。
施設を移る際の転院も、誰かの手を借りて行う事になるだろうが…
それすら大変なこと。誰が手助けするのか?一斉退職などされたら、現場は崩壊してただろうし、転院の手助けも充分とは言えず、かなり混乱しているだろう。
退職した30人の職員さんを無責任って責めること、誰にも出来ないだろう。
お給料が貰えなくても、介護を毎日できるか?
もし、私がその職場に在籍してて、去っていく同僚達を見送り、給与も未払いで自分の先行きも不明な中、ほんの僅かに残った仲間と、利用者さん達(と、その家族さん)への対応を、やり貫く自信はない。
泥の舟になってしまう職場に留まり続けるのは難しい。
さすがに30人が一斉には滅多にない規模だが、介護施設で〈職員の顔ぶれがゴッソリ変わってる〉なんて珍しくない。職員の入れ替わりが激しい業種。
利用者さんや家族さんが「せっかく吟味して良い施設を選んだのに」「なんか段々と質が悪くなってない?」と訝る事態も、施設という場では起こり得る。
選んだ施設が、選んだ時のまま持続する。それが難しい介護の世界
今はまだ、一旦入った施設を終の棲家と考える人が多数派だけど、時代が進んで
いずれ『住まい買い替え』みたいに「介護施設も乗り換え」時代も来るかもしれない。
「あ、ここ危ないかも?」と察知したら、転院が気軽にできるシステム。
利用者さん本人は無理でも家族や後見人が、気負いなく転院を決める雰囲気、
2024年現在では、まだそこまで進んでいない。