人手不足、沈みゆく舟みたいな【人】
今回は西洋占星術の話ではない、100%介護関係のお話です。
しかも、オチはないし解決方法もないしな話になります。
猫の手も要らないし、変な人の手も要らんし
仕事先が人手不足に陥る。こんな経験を持つ人は意外と多いだろう。
予測できなかった程の退職者が続き、その分の新規採用が間に合わない。面接しても内定辞退。仕事場と労働者は御縁のもの。よほど人気企業、人が集中する業種でない限り応者もなく、人事担当の胃キリキリ痛む事態が起こる事もある。
介護の世界は不人気職場の代表格。
人事の担当する職員や事務長、施設長まで胃が慢性キリキリ。
不況/好景気に左右され、不況で他業種へ就けない人がくる。景気が良いと介護など見向きもされない。巷じゃ言われるてるけど、これ、当たってるような…やや外れてるような気が…。いっつも採用が思うようにいき難い業種。
景気ウンヌンは正直いうと実感がない、10年以上も身を置いてると介護は〈沢山の人が入ってきては出ていく〉業種だと感じてる。ちょっと飲食業界と通じるものがある。
求人も多くて手軽そう、たくさん案件があって誰にでも出来そう。ハードル低め。
でも、入ると求められる能力は多岐にわたるし、細かいし、同時進行だらけ。
ハードル低い、去っていく時も「や~めた」と軽んじられる雰囲気。
誰でも入りやすい業種には〈変な人も入ってくる〉のだ。変な人としか表現が思いつかない、敢えて「変な」と形容する。どう考えても「アンタ、この仕事に向いてへんで」な人まで採用され、現場へ(つまり利用者さん達の前へ)来る。
元々、到底回ってない仕事場に、変な人が投入されると、どうなる?!
福祉関係じゃなくても、人手不足な仕事を経験した人なら、共感して下さると思う…
本当にうっとうしい状況に陥るのだ。職員の気分もダダダダダ…と下る。
変な動きをする新入りに、元から忙しいスタッフの手が取られ、余計な業務が増す。
で、謎の忙しさが発生する。
「新規で入れるの、マトモな人にしてぇや」とスタッフ達はため息をつく。
介護士におけるマトモさ???
変な人、マトモな人、とか独断と偏見で好き勝手書いてるが、切実な話で。
例えば、デイサービスは朝の迎えと帰宅の送り必須。もちろん晴れた日も雨の日も。
利用者さんを車に乗せ、施設前/自宅前で、車を降りて建物に入るまで見届ける。介護職員としては当然の動き。雨降りなら?自分が濡れても、先ず利用者さん達へ傘を差し塗れないよう配慮する。
知人が勤めるデイサービスでの実話。なんと!新入り職員が自分に傘を差し、隣で利用者さんは濡れてるのに、知らん顔をしていた。呆れつつ指摘したら「じゃ、ボクは濡れろって事ですか?」「なぜそこまでやらないといけないんです?」と反論されたそう。
あ然
それ、介護士が言う??そこから説明せなあかんの??
その反論に、丁寧な返答をする時間なんて元から無い。どうすんのょ、これ??
知人はじめ居合わせたスタッフは頭痛がした(例えじゃなく本当に痛んだ)そうな。
こうゆう人、採用しちゃダメでしょ。
「いゃぁ、丁寧に教えてあげたらエエやん。育てるしかないでしょ」と事務所。
仕事できる以前に、利用者さんを優先できない心を持ってる、なぜ自分にだけ傘を差して利用者さんを濡らして平気なのか、その時点で介護職員としてはマトモじゃない。
職種により〈マトモさ〉〈変さ〉は異なるし、求める基準も違う。
少なくとも介護士として働くなら、利用者さんの安全を第一にする気配りは必要。
例え、相手が認知症で、雨の中を飛び出しても、止めて保護するのが介護職員の仕事。止めきれず抵抗されて濡れたって場合は、それは別のお話になる。
「先ず利用者さんに」と丁寧に伝えても、その人には理解できなかったらしい。
一ヶ月もしない内に辞めたそう「最初っから来てほしくないわ、あんな人。引っ掻き回して、手を取られて。皆、余計に疲れた」と言ってたのが印象的だ。
変な人に来てもらいたくない、余計な(本来は不要な)業務が増えるから!!
実は忙しくて人手がない職場のスタッフほど、そう感じている。
沈む舟に留まるか?逃げるか?
ニュースになってた『関東地方で、介護施設で30人のスタッフが一斉退職は、運営側の問題が相当あっただろうし、これは例外として。必要な数の人手が集まらず【超】のつく人手不足に陥った介護施設は悲惨なものがある。
同僚には「よく耐えてたなぁ」と寒気がする程の凄まじい職場体験をした人達もいる。
「辞め時、いつも迷ってたん」「なかなか踏ん切れんったわ」と笑う強者達は、責任感つよく真面目。生真面目なくらい仕事熱心。だからこそ『あこの職場は人が抜けて抜けて、マズイかも』と感じつつも、残される仲間や利用者さん達のことを気にして、自分の体調や精神状態を後回しにしがち。
人手が足りず業務の負担が増す。利用者さん達が待ってる(ご本人は待ってない、文句ばかり言うてても)。重くなるばかりの負担に疲弊して更に一人、また一人と退職が続く。
こうなると完全に負の流れに捕まってる。
業務の負担、度を超すと介護士側の心身がヤラれる。そうなると職場全体にドヨ~ンとした空気が漂う。どんなに明るいフリをしても滲むし、実際にちょっとした事でイライラな言動になりがち。このイヤな空気って面接や見学で外から来る人には伝わる。
身の危険を感じたら去る、それも労働者としての権利。嫌な空気に染まる場に入ったり残って踏ん張り、何とか業務を回し続けるのって…凄い疲労する。
30人が退職した施設の職員さん達、去る人も、残った人も、とても辛かっただろう。残された利用者さん達の辛さはもちろん、きっと職員の多くが疲弊して、心身ともに傷ついたと思う。逃げ隠れしてる社長とやらの罪は重い。
介護スタッフは常に利用者さん達を優先。
時に自分が打撲したり怪我をしても、腰痛や膝痛などに見舞われても、他人の親である人(敢えて書く!)の安全を守ってる。でも、限界がきたら職場から去るしかない。
本当は逃げたくないけど、自分の命の危険を感じる限界にまで挑まない。
挑む必要ないし、人生は長いんだから。
1人、また1人、更に1人…もう1人…続いて1人、と退職していき、その都度、新規で採用できてないと、職場として最低現必要な人は居ない状態。それが続く。
当然、日々の業務(それも必ず成すべき事)が処理できないストレス、苛立ち。
それだけでも神経が病みそうになる。
まして、グループホーム等の認知症を預かる施設では、御本人は「ちゃんと出来てますけど?何でっしゃろ?」「何なん?失礼やわ。けったいな事言わんといて」と、職員のすべき仕事をすれば、本人さんから苦情を受けがち。
認知症で、トンでもない事をやらかしてくれる、実は『自分の身を守れない』のに、ご自身は「何も問題ないやろ?」と信じて疑わない利用者さん達を、守らねば。
人手がないと守りきれない。
利用者さん達が暮らす「場』が崩れていく、それを見続けるストレス、悲しみ。
必要な職員がいない辛さ。介護士として働いてると、この問題に当たる事がある。
私は今現在、これに直面している。
正直に言うと(職場の必要人員を下回る〉状況は、話には聞いてたが、こんなに辛くて、寂しいと感じると思わなかった。
大好きな西洋占星術の勉強やカフェ巡り、映画、読書をする気力も湧かないほど、心身が疲れてしまい翌日にも引きずられるとは…。体も辛いが気持ちが沈む。