介護

肉体が衰えたとき、欲しいもの①

mariri

可能なかぎり自宅で暮らしたい

介護士を始めた頃、最初に入った職場は、比較的しっかりした高齢者が多かった。

ここで書く『しっかり』は私基準になるが、

着替えや入浴など自力で行う/足腰も問題なく(杖を使い)移動

食事を自分で口に運べ、噛んで飲み込める/

自分の要望を言葉で伝え、相手も理解(意思疎通)できる、等々。

これらが出来て、認知症がひどく進行してなければ。あと、自宅の条件さえ問題なければ、サポートを必要に応じて受けつつ、自宅で暮らしていける。

自宅の条件、これがクセモノで。

若い頃に建てた、自分の好みや、建築デザイナーの意匠たっぷりの自宅。

たいてい『やたらと凝った』造りをしてるが、高齢になった体には適さない。

体が若い時期には気付かない、想像もしないこと。

家の中はアチコチ段差だらけ(転倒リスク)、

道から玄関まで極細かく(杖ついて歩けない)

地面は玉じゃり系(神社か?足が前へ出ない)

玄関にゴテゴテと飾りが(どうやって車椅子を置けば??)などなど。

ご自宅問題が…

この仕事に就いて痛感した。大きなお買い物〈自宅〉なのに、終生、ずっと住むイメージをしてない造りの、なんて多いこと。

声をにして言う、

老いても自宅に住みたいなら、家を決める/選ぶ時から、自分が数十年後『いつか杖や車椅子を使う未来がくる姿』をイメージしつつ、家の造りを考えるべし!!

案外と、老後のイメージはせず選んだ(で、あろう)お宅が多い。

若い時に住む家と、高齢者が住む家と。全く異なる。

これだけ高齢者が増えた日本で、建築トレンドに変化もあったか?分からないけど、『老後を意識して自宅を選ぶ』など、昭和時代や平成時代には少数だった。

広めの玄関、&平たい広々とした床が欲しい

自宅が段差だらけ、それも数ミリの差で、足を引っかけて転倒。

高齢者の、特に骨が弱くなる率高い女性の転倒は起きやすい。

これが、かなりの問題になる。

家の中に居てるだけでコケた、骨を折った。

それで、入院して、手術してリハビリして、数ヶ月ほど。

もう、歩けなくなったり、認知症が進行したり、他のトラブルが出てくる。

若い時には信じられないような、本当のはなし。

珍しい事ではない、誰にでも起こる可能性がある。

「あ、ここ段差」と認識できる10cm級の差なら、警戒して慎重な動きができる。認知症になっても、体はそのように動いてくれる。足腰が弱っても、大きな段差を越える時には、何とか高く足を上げ移動している。

大きな段差は、車椅子を自宅内で使用する際に問題になるが、それは別のはなし。

脚腰が弱ると、数ミリ、数cmの差が恐い

軽~くまたいだつもりが、高齢になると「つもり」より足の動きが低い

動きも鈍くなってるので、とっさにバランス取る力も弱い。

自分の肉体への『認識ズレ』が転倒原因の1つ。欲を言えば、数ミリの差もないペタ~ンとした平たい床や廊下。なかなか難しいが、足を引っかけない家にしたい。

加えて、コンセント口の位置も重要で。高齢になると電気コードに足を引っかけ易い。それでコケる。間取りと共に電化製品のコード&コンセント口も気にしたい。

安心して住むには、廊下は広め、床は障害になりそうなモノを減らす。

玄関は、自分プラス誰かが通れる、居られる広さ。

狭い上に、靴やら何やらゴチャっと散乱してると、介助し難いのだ。

それでも、うっかりコケる時はくる。でも、何も対策せず、ゴテゴテゴテ~な家より、自宅へは転倒しない工夫を最大限にしておく。その方が良い。

後は、足首が硬くなるので、中高年になったら柔軟性キープ。

私も大いにあがいてる、これぞ、アンチエイジング!

柔軟性と筋肉は、可能な限り保っていたい、と思う。

中年期から意識をしはじめて

住まいと自分の肉体と。高齢者といわれる年齢になる前から気にかけておく。

自宅の状況は、家族がいるなら全員で話し合う。

どれだけ準備して、工夫して、頑張って学んでも、何が起こるか分らぬ人生の残酷さ。最終的には施設へ入るか、病院で生涯を終えるか、希望通り自宅で人生を終えるかは、誰にも分らない。けど、可能なかぎり知恵をしぼる。

近年『終活』って言葉が世に出てるが、良いことだと思うし、私も考えている。

賃貸でも、注文住宅でも、独居でも同居でも「80歳の私の体調は?」「90代まで生きたとしたら体は動くか?」等、想像してる。

高齢者向けの介護施設で働くと、80代90代の利用者さん達が主。ごく稀に70代の人がいると、体の動きが若いと感じる。まだ70代なら、大きな怪我や病気をしてなければ、充分に動ける。私には70代の仕事仲間が複数いる、皆さん、体力もある。

残念だけど施設へ入居する70代の方は、認知症ゆえ入居されている。

「肉体の衰え方には個人差」同じ年齢でも残酷なまでに違う。身体能力や持続力も、記憶力、精神力、判断力、そして、人間的魅力も。衰えゆく過程は人それぞれ。

自分がどんな風に衰えていくか?今は想像でしかない。体をメンテナンスして、大切に扱うことで、少しでも長く自分なりの快適さで生きたい。

あと、意欲は徐々に落ちるので、大きな住まいは要らない。

私の場合、きっと掃除に手が回らないだろう。

身動きとれない状態が、いきなり来る事もあるので、日々の暮らしこそ。

30代40代では考えなかった事柄に、あれこれ意識が向く。

ABOUT ME
しげり
しげり
介護士/西洋占星術占い師
関西で生まれ育つ。幾つかの職を経て介護士になる。主に認知症の方々のお世話して10年以上になる。2019年秋、ある日、なぜか西洋占星術(ホロスコープ)へ興味をもち、学び始める。知れば知るほど興味が尽きず、介護の仕事;コミュニケーションにも活用できると感じる。学んだら活かす、お互いに笑顔が浮かぶように。太陽は魚座/月は牡羊座
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